人形のモリシゲ
NHK光る君へで話題の紫式部が「雛人形」の起源「流しびな」をはじめる

NHK大河ドラマ「光る君へ」の中で、主人公吉高由里子さん扮する紫式部は中級貴族の立場であるがために上級貴族の柄本祐扮する藤原道長(光源氏のモデルといわれている)との結婚をあきらめることになります。また幼い時には、上級貴族に母を殺されながら不問にしなければならない耐え難い人生を経験します。その他にも女性であるがために参加できなかったり能力を認められなかったりする事に翻弄されながらも前向きに生きていく姿がドラマの中で描かれています。 

女性であるがために参加できなかった行事に曲水の宴があります。曲水の宴は、漫画キングダムに登場する秦の始皇帝の前王「昭王」が始めました。その後、卑弥呼の魏の使いにより日本に伝わり宮中行事になります。曲水の宴は宮中行事の中でもとりわけ大切な上巳の節句の行事として三月三日に行われるようになります。紫式部は、殿方が楽しむ姿を見て、同じ日に宇治川に男女一対の人形を藁に乗せて流し、女児の無病息災を願いました。雛人形の起源「流し雛」のはじまりです。世界最古の女性文学を書いた紫式部は、世界最古の女性文化を誕生させました。(自説) 三千以上の市町村の中で、二千円札に紫式部、十円玉に平等院と二つの事柄で貨幣に登場する宇治市。しかしながら、訪れるとお茶の町一色に映ります。宇治川橋詰に紫式部の銅像があります。この橋下から雛人形の歴史が始まったのでしょうか。この当時は、男性社会のため女性は曲水の宴に参加することはできませんでした。また、貴族の中でも階位が五位以上でなければ参加ができませんでした。宴の中で十分に詩を読むだけの才能がある女性たち、中でも世界最古の女性文学「源氏物語」を書いた紫式部や、随筆「枕草子」を書いた清少納言などは理不尽な事柄に悶々としていた事でしょう。そうした男性社会の枠組みに入れない優れた平安貴族の女性達によって曲水の宴は、すべての女性が行うことができる流し雛として誕生します。流し雛は、曲水の宴と同じ3月3日に、盃の代わりに、男女一対の人形を、女児の幸せと無病息災を願って、川に流す行事となります。男女一対の人形には、身分に関係なく男女が結ばれる世の中を願う女性の思いが込められています。平安貴族の女性によって世界的にも類を見ない、女性文化が誕生しました。流し雛は、女児の幸せと無病息災を願う行事として普遍性を持って日本各地に広がります。そして、今日でも3月3日のひな祭りは、世界最古の女性文化として連綿と受け継がれています。いつの日かユネスコの世界無形文化遺産に登録されることを願っています。

さて、今日おひなさまを制作している女流作家は、「ひなまつり」をどのように考えているのでしょう。 アート&デザイン後藤由香子さんは、「夢のつばさ」の中で以下のように紹介しています。 日本には「Girls Festival」がある!! 日本には「ひなまつり」がある!!外国のお友達に自慢できるいちばんのお話です。アメリカ、フランス、オーストラリア。私が出会った女の子たちは、みんな目を輝かせてひなまつりのことを知りたがりました。女の子が主役になって、家族から贈られた「おひなさま」を飾る。お姫様は千年以上前のクラシックなドレスを着て、人生で最高の夢のような瞬間が表現されている。「愛」をテーマにした、ひとつの国の、ひとつの文化がずっと家庭の中で続いている。それは、奇跡のようなファンタジーです。そして、おひなさま・・・贈り主となった家族からのせつないほどの愛情が込められています。「幸せになってね」という、大きくて深い願い。ひなまつりの、本当の素晴らしさは、ここにあります。光のような速さで、物事がめまぐるしく変わっていく時代です。千年以上にわたって、ゆったりと時間に磨かれたひなまつりが、現代の人々に生きるともしびを与えてくれるように思います。まずは、「楽しむ」ことから始めたい。伝統は「現在(いま)」を生きていると思うのです。

紫式部が生み出した「ひな祭り」は、日本が世界に誇る女性文化として「現在(いま)」を生きています。

余談ですが曲水の宴とは、蛇行した小川に詩人がたたずみ上流から流された盃がくるまでに詩を読み上げなければならない詩を読み上げることができなければ盃のお酒を飲み干さなければならないという宴でした。菅原道真公は、第五十九代宇多天皇と西暦890年旧暦3月3日宮中での曲水の宴に参宴しています。そこで、西暦303年3月3日に行われた書聖王羲之の蘭亭の宴(歴史上最も有名な曲水の宴)に思いをよせた詩歌を詠んでいます。「風向になげうち渡りて 海濱に臥(ふ)せりき 憐れむべし 今日佳辰に遇ふこと 近く臨む桂殿 廻流の水 遥かに想ふ 蘭亭 晩景の春(以下略)」菅原道真公は、下級貴族でありながら並外れた才能により右大臣に上り詰め遂に曲水の宴に臨む事ができたのです。平安貴族にとって曲水の宴は、当時最大のエンターテインメントだったのです。NHK大河ドラマ「光る君へ」の中で曲水の宴はどのように描かれるか楽しみです。

平城宮東庭園日本最古の曲水の宴跡と紫式部縁の地

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