• 雛人形

人形のモリシゲ

平安春峰(ドールコーディネーター)

清水久遊の雛人形 ~十二単の美を求めて~

最先端の文明の世界で生活する日本の女性には、女の子が誕生すると真剣なまなざしで雛人形を選ぶという人形文化があります。

大阪松屋町には雛人形を販売して生計を立てている店が約20件近くあります。

大型店では、1,000体近くの人形を陳列しています。ちょっとした人形美術館より見応えがあるかもしれません。

人生で人形を購入する機会が多々あるわけでもない中、突然、当たり前のように雛人形を選ぶ日本の女性、世界的にも類を見ない人形文化なのです。

それでは、雛人形を選ぶポイントは何でしょうか。

まずは情報を集め、次にサイズや価格を理性的に考え、最後は人生の中で磨いてきたご自身の感性で決める。

自身の感性といっても曖昧なアドバイスでしか他ありません。

そこで、参考に優れた感性を持った作家の雛人形を紹介したいと思います。

優れた感性を持った作家の作品は多くの人が足を止める雛人形でもあります。

同じように見える雛人形の中で足が止まるということは、その作品に心が動かされたということです。

心が動く=自身の感性に合っているかは別ですが、その作品がすぐれた作品であることだけは間違いありません。

ここでは女流作家「清水久遊」の作品をご紹介したいと思います。

30数年前、業界最大手の人形メーカー社長夫人でしたが、独立を決意し自身の目が届く範囲の「工房ひいな」を設立します。

今日では、十二単の美を追求し、雛人形の造形の完成度の高さは他にありません。

他のメーカーが類似した作品を制作しますが、久遊が長年試行錯誤の積み重ねの中で究めた技法には及ぶところではありません。

ひいなの有職ひな ~その美と究極の仕立て~

重ね着を段々に揃えた美しい十二単は、久遊の特長の一つです。

また、着物と同じ額縁仕立ての十二単の縫製は久遊の作品への妥協のないこだわりの現れです。

4枚目の写真で、おひなさまの引き腰の一つに取り付けられた「お守り八百富神社」のお札は、実際に女児の幸せを願い祈祷されたものです。

 

限りなくシンプルに~そして作品を最大限に美しく見せる演出~

作品をどうしたら最も美しく演出できるか・・・

久遊が考え抜いたおひなさまを最大限に美しく見せるための空間・・・

そして、おひなさまを後ろから照らす照明・・・

光と影が生み出す清水久遊の美しい雛人形の世界が広がります。

女流作家 清水久遊と清水ゆたか~平安春峰と二代目平安春峰~

清水久遊(しみずくゆう) 愛知県蒲郡市生まれ。

18歳より先代の元で人形作りを、勉強、精進し、女性ならではの繊細な色彩感覚と斬新なアイディアで業界のリーダー的存在となる。後に有職工房「ひいな」を設立。雛人形工芸士に認定される。1993年より東京高島屋において毎年、制作実演を行う。

女流作家ならではの繊細な感性と現代のモダンを融合させた清楚で華麗な雛人形を積極的に創り続ける。

「清水 ゆたか」 幼い頃から家業である人形作りに触れる。仕事場で遊ぶように作ることを楽しむ。大学卒業後、ひいなに入社。雛人形師である祖母、清水久遊のもと人形づくりを学ぶ。現在は久遊直伝の感性と技術を学び、日本古来の伝承(ホンモノ)を伝えることを目的とし、日々精進している。

大人も子供も日本のこころや豊かな感性を感じ、温かく優しい気持ちになっていただけるようなものづくりを心がけている。

平成7年初代平安春峰と平成30年二代目平安春峰の人形のモリシゲTVCM

どちらのTVCMも平安春峰が手に添えているおひなさまは清水久遊の有職ひな人形です。

お茶碗と雛人形~平安春峰のひとりごと~

NHK朝ドラのスカーレットの中で信楽焼の1,000円のお茶碗が入賞したとたん5万円になる話がありました。

雛人形の世界では、雛人形コンクールで賞を取ったとしてもお茶碗のような金額に化けることはありません。入賞するかどうかは、審査員の心がどれだけ作品に動かされたかではないでしょうか。

一般的に、人生の中で芸術作品を購入する機会など多々あるわけではありません。

雛人形はある意味で芸術作品としたら・・・雛人形を選ぶということは人生で初めての芸術作品を購入する機会が訪れたことになります。心ときめく雛人形に出会うことがあれば、少々予算より高くともその方にとっては思いのほか価値のある購入であるかもしれません。

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