モリシゲ ブログ

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人形のモリシゲ

平安春峰(ドールコーディネーター)

後藤由香子の雛人形 時空を超えた宝物

伝統は「現在(いま)」を生きている。

千年以上にわたって、ゆったりと時間に磨かれたひなまつりが、現代の人々に生きるともしびを与えてくれるように・・・

まずは、「楽しむ」ことから始めたい。

伝統は「現在(いま)」を生きていると思うのです。      後藤由香子

春夏秋冬~おひなさまで季節を楽しむ~

衝撃を受けた~おひなさま~

由香子さんに魅了された作品・・・エミールの庭(2006年)

エミールの庭が発表されるまでも数々の作品に魅了されてきましたが、この作品はさらに衝撃的でした。

約100年前パリ万国博覧会で日本の文化が紹介されたアールヌボーの時代・・・この時代の代表的なガラス工芸家にエミールガレという人物がいました。エミール・ガレは、日本の文化に影響されたステンドグラスのランプの名品を数々残しました。その美しさに魅せられた由香子さんはガレの生誕地に訪れガレの想いを今度はひな人形に取り入れエミールの庭を制作しました。ステンドグラスに見える屏風は和紙で制作されました。私はこの制作秘話を聞き由香子作品の奥深さにさらに衝撃を受けました。時空を超えてエミール・ガレのガラス細工は、今日でも多くの人々を魅了しています。同じく後藤由香子作品もこれからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

ドールコーディネーター平安春峰

2002年に発表された初期の作品~今も求められている作品~

後藤由香子の初期の作品のほとんどがいまだに存在感があり多くの方に愛されています。現代は、10年一昔どころか1年一昔の時代に、17年の時を経た由香子作品を初めて見た人が「今風のおひなさまですね」と言われるぐらいのアートなデザイン性にすぐれた作品なのです。アート&デザイン後藤由香子の作品はどの時代においても人々を魅了し続けているのです。人形師の家に生まれ、三歳から祖父の傍らで人形作りに親しみ、早稲田大学では心理学、アートセラピー、音楽療法を学び、オーストラリア、アメリカの留学を経て、卒業後はTVニュースキャスターを務めるなど各分野で磨いた感性が反映された完成度の高い作品です。2002年の代表作には「夜明けのシンフォニー」、「ロイヤルローズウエディング」、「志野」、「織部」、「さくら」、「Jazz」、「かなた」などがあります。

日本をテーマにした心に残る名作!

2009年には、鶴をイメージした衣裳を着た「Japan」、SNS到来の初期にママ友の間で話題になった「フィール」などがあります。「エミールの庭」もそうですが、この「Japan」という作品も、衝撃を受けた作品の一つです。「フィール」は現在も制作されていますが、先の二点は、一度制作された後、制作されていません。いつの日か、制作されることを願うしかありません。。

おひなさまを「楽しむ」

2015年以降の作品は、由香子さんのおひなさまを「楽しむ」という想いが作品に反映されています。花冠や花飾り、花指輪、花イヤリングなど、おひなさまの装飾の一部を身に着けて、女の子が生まれて初めてのおしゃれをしたり・・・写真を撮ったり・・・心ときめくお雛祭りを楽しんでもらいたい・・・そんな想いが感じられる作品が増えてきます。妖精シリーズは、まるで作り手自身が妖精であるかのように自由奔放におひなさまアートを楽しんでいる作品です。実際に、後藤由香子写真集には妖精に扮した作家の写真があります。後藤由香子が妖精になりきって想像力を高め制作したのではないでしょうか。この年の作品が発表された後、多くの方からこの年の作品への問い合わせがありました。その後、このシリーズは、制作はされていません。後藤由香子は、次の作品Piccolo〜ピッコロシリーズの制作に取り組んでいました。

下のビデオは横浜人形の家で開催された後藤由香子展の一場面です。会場中央には、森の妖精に扮した後藤由香子のパネルが展示されていました。作品をイメージするために妖精になりきる・・・作品に取り組む後藤由香子の情熱が伝わってくるパネルです。

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森のウェディング~想像を超えるおひなさま~

ゴシック&ロリータ

「ゴシック&ロリータ」カネボウのアイメイク「ケイト」のデモストレーションビデオに使用されました。このビデオは後藤由香子がプロジュースしたと言われています。

おひなさまを未来に残したい・・・そのために生まれた Piccolo〜

おひなさまを未来に残したい・・・そのために生まれた Piccolo〜ピッコロシリーズ〜後藤由香子が未来を見つめて残した最後のテーマ作品

夢をはぐくむおひなさま

おひなさまは生まれて初めてのアート。手作りの技術を集めて、一つの夢の広がる世界を作ったおひなさまの世界です。

Piccolo 〜ピッコロ〜 

わずか30センチ角の大きさで、本格的な衣装着の世界を楽しめる新しいかたちのひなかざりです。

最後の画像は、セガエンタープライズに依頼されて後藤由香子が制作したおひなさまです。

この作品こそ後藤由香子が製作した最後の作品です。

後藤由香子は、17年間で230の作品を残しました。現在、制作されている作品は、その一割ほどです。後藤由香子は多くの人に自分の作品を楽しんでいただきたいと願っていました。2009年には銀座ギャラリー21で個展、2010年には大阪ハイアットホテル、gallery at heartで個展、2016年と2017年に横浜人形の家で後藤由香子展を開催など・・・後藤由香子と二人三脚で制作に取り組んできたご主人やご両親、そしてスタッフの皆様の手で、これからも名作の数々を蘇らせていただきたいと願うばかりです。

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